恋をするとキレイになっていくように、女の人は多少サイズが小さくても「素敵!これ着たい」と思えば入るものなのです。
試着室で着た時にキツキツでも買って家に帰って、着る日の事を思ううちに不思議と体が頑張ってサイズが伴ってくるんです。
誰しも経験はあると思いますが、体が洋服のために頑張れる範囲というものは意外と広いのです。
販売員をしていて、たいていのお客様は「店員さん、みんな細いですね」と言うのですが、店員と同じく細い人にしか入らないという不安を持たせないようにしましょう。
色んなサイズと付き合う
自分自身、色んなサイズと付き合えるよう沢山の洋服に出会う事が大事です。
そりゃムリだろう!というサイズにまで手を出す必要はありませんが、あくまで「着たい洋服のために体が頑張れる範囲」を知ってください。
そして、明らかにサイズに対して不安を持っているけれど、着てみたい!と言うお客様に気持ちのいい対応が出来るように心がけて下さい。
試着していただき、もしも本当に「このサイズではムリかな」と思えば、今度は買うか買わないかお客様が決める事。
惚れ込んでもらい、買います!と言ってもらっても破れる可能性有りな事も伝えましょう。
そんな時は間違っても「大丈夫ですよ」と言ってはいけません。サイズじゃなくても似合うか似合わないか不安な気持ちって誰でもあります。
それと同様に試着する時の不安が、たいていのお客様はあるというのを前提で、さらにサイズに関しては、その不安がもっと大きいと思って接客しましょう。
そして肝心の「着てみてからの見極め」、そこをハズレなしにいきましょう。
3年後に流行っても、今は着れません
たまにありますが、「ん?間違って入れちゃった?」と焦らせる商品。スタッフ達は、コレは売れ残るだろうとあの手この手で表に出しますが、もちろん長く売れ残っています。
当たり前ですね。3年先では先取りしすぎですからピンと来ませんし、見方によればものすごいダサい格好に見えたりします。
これは洋服屋を離れると気が付くのですが、働いている時というのは気が付かず、むしろ「このダサい服を買って下さい」と言わんばかりに表に出すんです!
そしてスタッフ達はそのダサい服で頭がいっぱいになり、テレビを見ては人気タレントが似たような形の物を着ていたら「コレだ!」と、早速次の日にディスプレイするのです。
人気タレントが着ていたから可愛いのであって街中誰も着ていないのに不自然なほどに囃し立てられたダサい服なんて見向きもしません。
スタッフ達だって着てないのに。しまいには「若い人のお店かしら?ちょっと見せて下さいね~」と入って来てくれた、ターゲットの上の層の人に進めちゃったりします。ひどい話です。
それが売れる時もある
そして売れる時があるからもっとひどい。だってそれを買ってくれた人は、それに合わせるアイテムをどう調達するのかまで責任が持てないし、やっぱり合わなくて娘さんにあげたとしても「母親のセンス」という品物にしか見えない訳だから、3年後に流行ってもそれは着ないのです!
売れて良かった反面、あのダサい服の身を案じながらも、たいていのスタッフ達はそのお店を退職して、だいぶ経ってから「最近あの服よく見るなぁ」と思うのです。
◯年後に流行る服というのは不思議なタイミングで流通します。煮ても焼いてもダメなら奥にしまって大切にして下さい。
スタッフがお店をダメにしている
販売員で結構多いタイプが、洋服に興味はあれど得意なジャンルしか詳しくないという人。洋服が好きでこだわるからこそ、接客や知識がにも偏りが出ます。
私は勤めたうち2社閉店していてるのですが、ひとつは面接に行った時点で閉店が決まっていると知らされ、最後まで閉店作業を手伝うという話でした。
もうひとつは急に「来月いっぱいで閉店する事となりました」それだけで、閉店とともにスタッフも本社の人間もバラバラ。
全くの偶然かもしれませんが、閉店したお店は2軒とも品も値段も良いセレクトショップでスタッフは皆、好きなジャンル以外詳しくない人達でした。
洋服の好みでなく興味が大事
「色々なお店を見て勉強して…」とは言われるし、そのつもりなのですがやっぱり出るのが自分の好みなんですね。行く店が決まってくるし、お客様の方がよっぽど知識がありました。
ショップ店員してみたい!という人は、自分のタイプを知っていた方が良いですね。洋服の好みではなく、どこまで自分が興味を持てるか。
ただ洋服が好きというのももちろん良い動機ですが、それで通用するお店としないお店があるのです。
こだわりの強いセレクトショップでは、なかなかコアなブランドに詳しいお客様が来ては語っていきます。
顧客名簿を見ると何年も御愛顧頂いているようですが、きっとそのお客様は何度もスタッフの入れ替わりを見て来たのでしょう。
どう仕入れているブランドやセンスが同じでも、スタッフが入れ替わり、会話の幅も限界があればお店自体に魅力を感じなくなるのかもしれません。
閉店は不況という時代のせいだけではありません。私がもし、こだわりの強いセレクトショップてもう一度働いたとしたら、引き出しを多くする努力を怠らないつもりです。